特定非営利活動法人 奈良県HACCP研究会

県内の食品企業の衛生・品質管理水準の向上を目指して

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県内の食品企業の衛生・品質管理水準の向上を目指して

特定非営利活動法人 奈良県HACCP研究会

理事長 坂上 吉一

元 近畿大学農学部 教授・元 日本防菌防黴学会 会長(現 顧問)

 私ども、特定非営利活動法人(NPO法人)奈良県HACCP研究会は、「HACCP(ハサップ:Hazard Analysis Critical Control Point)」と呼ばれる食品の安全性確保の仕組みを広げる活動を行うために、(公社)奈良県食品衛生協会と市民生活協同組合ならコープが協力し、平成26年(2014年)2月に立ち上げたNPO法人でございます。

 HACCPは、食品衛生管理の国際的な標準システムとして世界的に普及しており、国は食品企業への導入を推進しておりましたが、国内での普及が進んでおりませんでした。しかし、平成30年(2018年)6月13日に食品衛生法の一部改正が施行され、HACCPの制度化を目指した動きが具体的に示されました。その中で、令和2年(2020年)の東京オリンピック・パラリンピックの開催や食品の輸出促進を見据え、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められておりました。原則2年間の経過措置がございますが、まさに喫緊の課題でございました(その後、オリンピックは約1年間の延長が決まり、現在に至っております)。

 私どもはNPO法人の立ち上げの以前より、奈良県産業振興総合センター(旧奈良県工業技術センター)、奈良県食品衛生協会、市民生活協同組合ならコープの共催で、主に奈良県内の食品企業を対象に、平成23年(2011年)度からHACCPに関する研修会を産学官の連携で開催し、奈良県独自のHACCPに関する認証基準や制度の制定を求めながら、県と制度づくりに取り組み、HACCP手法の普及活動を実施してきました。

 平成27年(2015年)7月1日、かねてから制定を求めてきました、奈良県HACCP自主衛生管理認証制度(通称「ならハサップ」)が、施行されました。私どもNPO法人は、「ならハサップ」を認証取得するための条件の一つである指定研修を毎年開催し、「ならハサップ」の取得推進や運用面のフォローなどを継続して行い、普及・啓発を図るとともに、県内の食品企業の皆様と衛生・品質管理水準の向上を目指し取り組んでおります。また、平成30年度より、新たに伝統ある三輪素麺の製造業者へのHACCP研修を2年間実施いたしました。

 また、「平成29年度地域連携HACCP導入実証事業~飲食店事業者向け~」を奈良市の委託事業として実施し、平成30年(2018年)3月末に、「HACCPP導入のための解説、事例集」が発刊されました。なお、この成果につきましては、平成30年(2018年)11月13-14日、東京都内で開催されました日本防菌防黴学会第43回年次大会でポスター発表いたしました。

 「ならハサップ」の取得状況につきましては、平成28年(2016年)12月16日、認証第一号施設(5施設)が誕生し、その後順調にならHACCP取得が進み、令和5年4月現在62施設(59社)が、「ならHACCP」を取得されております。

 令和の時代に突入し、約4年間が経過しました。令和5年(2023年)5月8日より、新型コロナウイルス感染症は2類相当から5類へ移行しております。現時点では、新型コロナウイルス感染症は少し落ち着いてきておりますが、第9波の入り口にあるという見解もあり、終息には至っておりません。日本におけるワクチンの接種率ですが、6月27日公表で、2回接種が終了している割合は80%、また3回接種終了者が68.7%(65歳以上は91.4%)ですが、それ以降は接種率も低下しております。早い終息が望まれます。

 このような経緯の中で、令和3年(2021年)6月1日よりHACCPの制度化が完全実施となり、2年が経過いたしました。また、ならHACCPも令和9年で終了いたします。しかし、県内にはHACCPを十二分に実施されておられる企業、現在、県に申請中の企業、まだまだの企業等、様々な状況と思われます。

 我々NPO法人奈良県HACCP研究会は、民間の立場ではございますが、今後とも微力ではございますが、「ならハサップ」に関連する運用面のフォローならびにその他の関連事業等を可能な限り実施し、県内の食品企業の皆様と衛生・品質管理水準の向上を目指した諸活動を引き続きおこなっていきたいと考えております。

 皆様のご賛同と積極的なご参加を心からご期待申し上げます。