厚生労働省で「ゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の取扱要領(案)」及び「届出に係る留意事項(案)」が取りまとめられ、ゲノム編集技術を応用した食品の流通が早ければこの夏にも始まると言われています。
 ならコープは消費生活協同組合として、消費者がゲノム編集技術応用食品について理解を深め、安心して商品を選ぶことができるように、厚生労働省に意見書を提出しました。

 

厚生労働省医薬・生活衛生局
食品基準審査課 新開発食品保健対策室 御中
 

「ゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の取扱要領(案)」及び「届出に係る留意事項(案)」
に対する意見書
 
 「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生上の取扱いについて」の報告書が取りまとめられ、ゲノム編集技術を応用した食品の流通が早ければこの夏にも始まると言われています。
 私達、市民生活協同組合ならコープも、ゲノム編集技術を利用した食品について、学習会を開催するなど理解を深める取り組みを進めてはいますが、学習会に参加した多くの方は安全性に関する情報が少なく、不安を持っているのが実情です。
 そうしたことを踏まえ、消費者がゲノム編集技術応用食品について理解を深め、安心して商品を選ぶことができるように、以下に意見を申し述べます。
 

 
1.消費者の“知る権利”を確保するためにも、届出の義務化を求めます。
 ゲノム編集技術応用食品について、消費者は漠然とした不安を持っています。その不安を低減するためにも、開発者等に対して必要な情報の届出を求め、消費者により正確な情報を開示していく必要があります。しかしながら、届出は義務化されておらず、どれだけの実効性があるかは疑問です。違反者が発生した場合は公表をするとあることからも、届出を義務づけるとした方が整合性がとれると考えます。
 「届出されたゲノム編集技術応用食品を利用して製造加工された食品については届出は要しない」との見解がなされていますが、これでは知らないうちにゲノム編集技術を応用した食品を摂取する恐れがあることから、開発者(メーカー)に対して届出を義務づけることが必要と考えます。
 また、世界に目を向けると、日本より取り組み(開発)が進んでいる国もあり、輸入食品も含めた届出制度の義務化を強く求めます。
 
2.消費者の“選ぶ権利”を確保するためにも、表示制度の整備と義務化を求めます。
ゲノム編集技術を応用した食品を「食べたくない」と思っている消費者が、購入時にゲノム編集技術応用食品であると判断できるようにすることが必要です。消費者自身が選択できるように表示制度の早急な整備と義務化を求めます。
 
3.消費者の不安を解消するためのリスクコミュニケーション、及び検査方法の確立に向けた取り組みを継続して実施することを求めます。
 ゲノム編集技術は新しい技術であるため、メリット・デメリット、従来の育種や遺伝子組換え技術との違いなどについて正しく理解している消費者は多くないと考えています。科学的根拠に基づいた情報をわかりやすく提供し、消費者が不安を抱くことがないようにしていくことが必要であり、現状ではリスクコミュニケーションが決定的に不足していると考えます。
 また、現時点ではSDN-1のDNA検査による判別は困難ですが、安心を担保する意味でも検査方法の確立に向けた取り組みを継続していくことを求めます。
以上
 
2019年7月26日
市民生活協同組合ならコープ
理 事 会