入谷方直氏による被爆体験伝承講話 「ある韓国人被爆者の半生~朴南珠(パクナムジュ)さんの被爆体験~」

 2月9日(日)コープふれあいセンター六条で、戦争と被爆の体験を、交流を通して継承していく活動「Oneピースかふぇ」に、小学生3人を含む30人が参加しました。第1回目は、奈良県内の被爆者の記録を掘り起こす活動をされている入谷方直(いりたに まさなお)氏による被爆伝承講話。被爆者の高齢化により、広島市は被爆体験証言者の被爆体験や平和への思いを受け継ぎ、伝える「被爆体験伝承者」の養成を2012年から始め、入谷さんは3年間の研修後、2019年4月から被爆体験伝承者として活動されています。 

「Oneピースかふぇ」とは…1つひとつのかけらが集まり、忘れてはいけないメッセージを継承することを意味し、『One』の「O」の文字はまるいつながり、終わることなくいつまでも続くイメージを併せもっています。また、Oneピースかふぇは、参加された人々が平和について想像を広げ学び合えることを大切にしています。

 

第1回Oneピースかふぇを開催しました
第1回Oneピースかふぇを開催しました

被爆体験伝承講話「朴 南珠さんの被爆体験」
 入谷さんが伝承されるのは、高等女学校1年生のときに被爆された韓国人女性の朴 南珠さんの体験。1932年広島で生まれ育った朴さんが、日本人になりたくて仕方なかったこと、高等女学校を出て教師か看護婦さんになりたかった夢、路面電車の中で幼い弟と妹と一緒に被爆したこと、被爆直後の光景、そして戦後のくらし…当時の写真や自作の絵を映しながら語る入谷さん。広島弁などが入る語りは、時に激しくなり、聴く者に朴さんの壮絶な人生を蘇らせます。そして、入谷さんが最後に訴えられた言葉。
 「原爆は人間として死ぬことも人間らしく生きることも許さない絶対悪の兵器。絶対悪に対して被爆者の方々は辛い体験を語り、核兵器をなくすための運動を続けてこられました。ですが、世界には未だ1万4千発の核兵器が存在しています。あれからもう75年。被爆者の方々だけに任せきりにすることはできません。私たちは被爆者の声を伝え、つなげることでこれから立ち向かってゆくことができます。原爆が、核が何をもたらすのか、私たちは絶対に忘れてはならない。その真実を、被爆者の声を隣の友人に伝えていってください。そして自分に一体何ができるのかを考えてください。あの日から続く核の恐怖をこの世界からなくすために」
 講話の後、入谷さんへの質疑・応答があり、朴さんの被爆体験を伝承しようと思われた理由や伝承者としての想いを語られ、現在の朴さんの様子もお聞きすることができました。
 
◇参加者の感想
・60年以上生きてきて、この問題に初めて向かい合った時間でした。講話はとてもわかりやすく心に響きました。これを機に核兵器問題に真正面からむかっていきたいと思いました。(60代)

・朴さんの被爆体験、入谷さんの活動のお話を聞くのは2回目でしたが、前回とはまた違った感じ方をすることができたり、前回聞いてない初めて聴くお話が聞けたりして、たくさん学ぶことがありました。学校で聞いたお話は、全校のみんなにたて割りグループで伝えたり、全校集会で紙芝居をしたりしました。私たちにも平和のためにできることを考えて行動していきます。ありがとうございました。(10代)