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環境ホルモン問題についての基本対応


1.環境ホルモン問題をめぐる情勢と特徴

@1996年3月にアメリカで発行された『OUR STOLEN FUTURE』(日本語版『奪われし未来』)で、女性の乳がん増加、精子数の減少など人に対する健康影響と、ワニの生殖器の奇形、鳥類の生殖行動異常など野生生物の影響についての指摘から「環境ホルモン問題」が報道され、研究の結果も公表されるようになりました。
A国内では、イボニシ(巻き貝)のメスにペニスが生じる雄性化(インポセックス)現象などが報告され、現在次のような内容で研究成果や人体への影響懸念が報道される様になり注目を浴びています。1998年に国内でも「環境ホルモン学会」が設立され研究が始まっています。
B現在、マスコミで報道されている「環境ホルモン物質」といわれている物質と内容

◆ビスフェノールA
ポリカーボネート樹脂(PC:熱硬化性プラスチック)の原料で容器材質そのものです。現在、高温の条件下で溶出されると報道されています。
エボキシ樹脂の原料として使用。缶の内面コーティング塗料や食品フィルムの貼り合わせ接着剤等各種に使用されています。現在、缶製品をレトルト条件で殺菌する種類の缶製品(水産缶詰・飲料缶等)で溶出すると報道されています。

◆ フタル酸エステル類
塩化ビニル(熱可塑性プラスチック)を柔らかくする為に添加される可塑剤(柔軟剤)として使用されており、口で遊ぶ乳幼児用のおもちゃが心配と報道されています。しかし、塩化ビニルの使用は多岐にわたり、調査の中で環境中での観測が続いています。

◆ ノニルフェノール(アルキルフェノール類の一部)
非イオン系界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(APE)が生物に影響を与えているのではと報道されています。主に工業用洗剤として使用されていますが、用途は多い。

◆スチレンモノマー、ダイマー(2量体)、トリマー(3量体)
カップ麺など多岐にわたり使用されており、現在、カップ麺の調理条件でも溶出するという報道があります。温度や油分の関係で溶出があることが判ってきています。

◆ 有機スズ化合物――トリブチルスズ(TBT)、トリフェニルスズ(TPT)
船底塗料、魚網用防汚剤として使用されいていました(使用自粛されています)。しかし、貝のイボニシのオス化現象に続いて、アワビの問題も報道され、貝類への不安があります。

2.ならコープの環境ホルモン問題に対する対応方針

2001年4月に以下の12物質が追加されました。
ア) フタル酸ジ-n-ブチル イ)フタル酸ジシクロヘキシル ウ)フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 
エ)フタル酸ジエチル
オ)フタル酸ブチルベンジル カ)アジピン酸ジ2エチルヘキシル キ)4-オクチルフェノール 
ク)ノニルフェノール
ケ)トリブチルスズ コ)トリフェニルスズ サ)オクタクロロスチレン シ)ベンゾフェノン
Cならコープの環境ホルモン問題に対する対応方針は、現在、上記のような物質は「本当に人間に影響があるのか?」「影響があるとすればどれくらいの量か?」など不明なことばかりですが、組合員の中では不安は募っています。そのため、以下の様な考え方で、可能なことから対応していくことにしました。

  1. 安心・安全を求める組合員の要望に応えるため、日本生協連やKネットと連携し、科学的な視点と暮らしの視点を踏まえ、組合員と一緒に対応を検討し、行政、産業界へも対応を要請していきます。
  2. 「環境ホルモン」についてはわかっていることに限界があるとはいえ、生態系と人に憂慮すべき影響を与える可能性があることから、調査研究を進めつつ「慎重なる回避」の考えに基づき、疑わしいもので技術的に避けられるものは代替やその他の対策を進めます。
  3. 調査研究については、内外の政府機関等による研究の状況、研究者の研究発表に注意を払いながら、専門家の意見の聞き取りや協力も得て「環境ホルモン」についての知見を取りまとめると共に、生協で取り組む課題等について検討します。
  4. 事業上の対策としては、「環境ホルモンの疑いのある化学物質」とならコープの事業との関連を考慮し、優先順位を決め、対応可能な以下の分野について、商品の点検と排除代替、転換要請、情報提供等の対策を進めます。
  • 食品容器のプラスティックの原料、添加物(ビスフェノールAの使用削減、塩ビ系材質からの切り替え)
  • 洗剤、薬粧品等の成分
  • 農薬成分


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