【第16回 2014年12月5日】 スピードアップが求められる復興事業

誰もが経験したことのない甚大な被害をもたらした東日本大震災。行政も、地域の再生・復興のために懸命な努力をしています。今回は、気仙沼市震災復興・企画部の鈴木忠春課長に復興の進捗状況についてお話を伺いました。
小山のような盛土の間をダンプが往来し、重機が動き回っています。浸水した土地を再び生活や仕事の場にするための嵩上げ工事です。高台では山を切り崩して宅地造成工事が進みます。インフラ整備を経て、家や店舗・工場を建てるのはさらにその先になります。宮城県の防災集団移転促進事業の進み具合を見ると、196地区のうち住宅建築が可能になったのは42地区しかありません(※注)。被災地の復興はまだこれからであることが分かります。
約9,500世帯が被災した気仙沼市では、住宅再建の復興事業に加速がついています。「入札や他の事業との関係で多少の遅れが出ているところはありますが、おおむね予定通りに進んでいます」と鈴木課長が進捗状況を説明してくれました。
「ただ、ここに至るまで時間がかかっていますから、被災された皆さんは、今か今かと待ち望んでいるわけです。毎日のように防災集団移転の造成地を見に来て、“今日は重機が何台動いてるね”と話していく人もいる。そんな話を聞くと、我々の仕事の段取りが悪くて遅れることだけはないように、と思いますね」。被災自治体の職員の多くがそうであるように、鈴木課長も被災者の一人です。住民と気持ちを共にしながら、今後も復興事業を担う強い想いを感じました。
「平成27年度までが集中復興期間とされているのですが、復興事業はこれからも続きます。国には集中復興期間を延長したり、28年度以降も潤沢な予算を確保してほしいと要望を出しています」。
マンパワーも必要です。「予算があっても、人手がないと事業は進みません。現在も全国の自治体から応援に来ていただいていますが、計画通り復興を進めていけるよう、これからも応援をお願いしたいと思っています」。
道半ばの復興事業。予算と人材の集中で加速させていくことが求められています。

(※注)2014年10月31日現在(宮城県、復興の進捗状況より)


広大な土地の嵩上げ光景を見ると、震災で失われたものの大きさが分かる。水産加工施設の集積が計画されている南気仙沼地区。
「市役所に限らずボランティアなどで全国から多くの方々が応援に来てくださったのが励みになりました」と話す気仙沼市 鈴木忠春課長。

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