第29回 2016年1月5日 
 
~地域再生に向けて~
貸与期限終了を前に再建の道を探す仮設商店街

 
2016年、多くの仮設商店街の貸与期限が終了します。商店主の方々は、期限前に退去後の再建計画や移転先などを決めなければならず、厳しい判断を迫られています。
 気仙沼市ではまず「気仙沼復興商店街南町紫市場」が再建計画の手を挙げました。他の仮設商店街にも声をかけ、「気仙沼内湾商店街振興組合」を結成して国のグループ化補助金を申請。 
 内湾地区の魚町と南町に新しい商店街をつくることになったのです。どちらも災害公営住宅と一体型の共同店舗の周辺に個別店舗が集積する計画で、遅くても本年冬の竣工を目指しています。
 共同店舗構想は形になるまでかなり難航しました。内装・設備などの開店費用や建設費の3/4はグループ化補助金でまかなえるのですが、それでも負担が大きいのが実情です。坂本正人さん(南町紫市場副理事長)は「長期のローンを抱えるのが不安で、いまも次のステップに踏み出せないでいる人が多い」と話します。
 気仙沼市には県内最多の18カ所の仮設商店街があり160者が事業を営んでいますが(※)、移転先の工事が進んでいるのは内湾地区(32者)だけです。テナントに移転したくても、気仙沼にはいまほとんどテナントの空きがありません。貸与期限の延長を願い出るにしても、地主との交渉や場合によっては施設の買い取りが発生するなど厳しい局面に変わりはありません。「今後どうするのか…」と坂本さんは市内の仮設商店街の行方を気にしながらも、内湾地区を商業者たちの希望にしたいと願い、新商店街づくりに精力的に取り組んでいます。
 坂本さんは、最後にこう話してくれました。「南町紫市場ができた後、真っ暗だったこの地区に飲食店が戻ってきて地元客や観光客、漁船員で賑わうようになった。同じように新商店街にも多くの商業者が集まって人の流れが生まれれば、いい街ができると信じています」。

※「仮設店舗現況調査」宮城県(2015年10月1日現在) 

 

3.11を忘れない みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします 「内湾地区には災害公営住宅が多数建つので人も戻ります」と坂本さん。子どもたちの施設「みなみまちcadocco」で。
3.11を忘れない みやぎ生協から被災地・宮城のいまをお伝えします 復興のシンボルとして地域を盛り上げている南町紫市場。 53店舗のうち約3割の事業者が新商店街に移転する。

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